雇用保険料の計算方法は?会社負担の金額や手続きを社労士が解説!
社員を雇用する場合には、基本的に雇用保険の手続きが必要です。この記事では、雇用保険の概要と手続きや給付について解説します。
雇用保険の手続き
雇用保険は、失業した場合などに備えて社員が加入する保険です。農林水産業の一部を除いた全ての会社は、加入条件を満たす社員を必ず加入させなければなりません。加入条件は、「1週間に20時間以上働くこと」「31日以上働く見込みがあること」の両方に該当することです。保険料は、社員と会社がそれぞれ一定の割合を負担します。社員負担分の保険料は、社員へ給与(賞与含む)を支払う際に差し引かれ、会社が会社負担分と合わせて各都道府県労働局に納付します。
社員の給与から差し引く保険料や会社負担分の保険料は、「給与の支給総額×雇用保険料率」で求められます。保険料率は毎年見直されるため、常に最新の保険料率を把握しておくことが大切です。雇用保険料率は、事業の種類や社員と会社で異なり、令和6年度は以下のようになっています。
- 一般の事業の社員の雇用保険料率: 6/1000
- 一般の事業の会社の雇用保険料率: 9.5/1000
- 農林水産・清酒製造の事業の雇用保険料率: 7/1000(社員)、10.5/1000(会社)
- 建設の事業の雇用保険料率: 7/1000(社員)、11.5/1000(会社)
具体的に会社・労働者が負担する雇用保険料を見ていきましょう。
例えば、一般の事業で給与が300000円の場合、雇用保険料は以下の通りとなります。
- 社員負担: 300000円×6/1000=1800円
- 会社負担: 300000円×9.5/1000=2850円
ただし以下の賃金に対しては雇用保険料はかかりません。
- 役員報酬
- 退職金
- 休業補償費
- 傷病手当金 等
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また、令和2年4月より、65歳以上の労働者についても雇用保険料の徴収・納付が必要となっています。雇用保険料率についても一般の労働者と同じ保険料率で決定されます。
一般的に、会社が行う労働保険料の申告・納付は、毎年6月1日~7月10日の間に行われます。社員負担分と会社負担分を合わせた1年分の概算保険料を納付し、翌年に確定の保険料を算出して過不足を調整します。しかし残業代などによっても毎月雇用保険料は変動するため、毎月計算する必要があることに注意が必要です。労災保険料と雇用保険料の合算保険料額が400000円以上(建設業の場合は200000円以上)の場合は、7月10日、10月31日、1月31日の3回の期限に分けて納付することも可能です。
なお、雇用保険への加入や会社の所在地変更、社員の退職などにおける手続きは、会社の所在地を管轄するハローワークで行います。
雇用保険の給付
雇用保険に加入することで受けられる給付は以下の通りです。
- 失業等給付: 退職時の基本手当や傷病手当などが支給される
- 就職促進給付: 退職して再就職したときなどに手当が支給される
- 教育訓練給付: 教育訓練の受講料や入学料などの一部が支給される
- 雇用継続給付: 高年齢雇用継続給付、介護休業給付が支給される
- 育児休業給付: 復職を前提として給付金が支給される
雇用保険の活用方法
雇用保険に加入している会社は、雇用調整助成金を活用できます。雇用調整助成金は、経済上の理由でやむを得ず事業活動を縮小した会社が、雇用を継続するための休業、教育訓練、出向をした際の費用を助成する制度です。
まとめ
雇用保険は、失業した場合などに備えて会社が社員に加入させる保険です。保険料は社員と会社が共同で負担します。社員雇用においては、雇用保険の手続きや給付についての知識が必要不可欠です。やむを得ず事業活動の縮小が必要となった場合には、社員の雇用を守るためにも、雇用調整助成金の活用を検討しましょう。
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